牛丼男

 牛丼一杯で女の子の処女を買った。
 というと、ものすごく最低男のように思われるが、実際のところはどうなんだろう。
 彼女は「牛丼一杯で、処女を売った」と言っていたけど、彼がどう思っていたかは聞いていない。
 彼がどう彼女に声をかけたのかは聞いていないが、彼が彼女に声をかけ、牛丼屋で食事をし、ホテルに行って事に至った。
 ということだけ考えると、彼は普通にナンパして、エッチした、と考えているのかもしれないと思われる。
 彼は渋谷で働いており、彼女は渋谷の駅で寝泊りしたいた。
 彼は仕事が終わったら彼女のところに行き、彼女にご飯(主に牛丼やカップラーメン)を食べさせて、ホテルでやる(休憩)。
 彼の頭の中では、普通の恋人同士だったのかもしれない。
 彼女は食べるためだったのだけれど。

 別に、彼女は潔癖症で、絶対に結婚するまで守り通す! とか思っていたわけではなく、ただなんとなくそうなってしまっただけだという。
 まあ、25歳で処女なんて、別にめずらしくもないしね。それを牛丼一杯で売るというのはめずらしいけど。
 見かけも、ブスというわけではなく、そのときは、好みにも分かれるが、美人といえる顔つきだった。
 そのときは……。
 ま、それについてはおいおい語らせていただくとして……。

 時には、彼の実家にも連れていかれたという。
 彼が仕事中、彼の部屋に隠れていて、お母さんに見つかって、大変いやな思いもしたらしい。
 牛丼男は、見かけも、性格も、ものすごくオタクだったらしい。
 オタクについて語るのは難しいが、わたしは「いいオタク」は好きだ。というか、わたしもかなりオタクだし。
 彼は、世間のイメージする嫌なタイプ(と一概に言ってしまうのもどうかと思うけれど)のオタクで、コミュニケーションがヘタで、コレクタータイプ? 彼女を自分だけのお人形さんにしてしまいたかったんだと思う。
 自分の部屋に、自分だけを見させて、自分の孤独を癒してくれる、ちぃちゃん(BYちょびっツ)を置きたかったのだ。
 それならそれでいい。彼女も生きていけるし、寝る場所にもありつける。
 ただ、彼は実家暮らしでお金もなく、そのために実家を出る度胸もなかったので、こんな形になっていたのだ。
 だから、たまにご飯を与えて連れまわして、好きなだけやって………。
 
 彼女は、ご飯は食べたいが、彼からは逃げたかったという。
 そんなときに、わたしと出会ったのだ。

 続く

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